盗撮ビジネス都道府県盗撮事件簿

盗撮は痴漢よりも重罪?女性を無断で撮影すると逮捕される危険も…わいせつの基準は?

盗撮ビジネスが横行、月33万円稼ぐ“達人”も

隠し撮り用小型カメラを製造する小工場も、盗撮ビジネスの一端に組みこまれている。彼らは、小型カメラを仕込んだ万年質、腕時計、USBメモリーなどを、300~3000人民元(約5000~5万円)で盗撮者へ販売する。また、盗撮者の要望に応え、小型カメラに、あらゆる偽装を施すサービスもある。こうした小工場は、有料ポルノサイトと「アフィリエイト契約」を結んでいるケースも少なくない。ポルノサイトの広告リンクをたどってきたユーザーが、商品を購入した際、売価の20%が報酬としてポルノサイトへ支払われる。

 

スカートの中を盗撮するなどして逮捕される事件

 

残念ながら実によく耳にする。しかし、下着が写っていなくても逮捕されるということが今回、波紋を広げている。
実は、類似の事件は過去にも何度か起きている。2008年に通行中の女性の後ろ姿を撮った自衛官が最高裁判所で有罪とされた。判決文では、ズボンの上からお尻を撮影したことが「卑わいな言動にあたる」と判断されている。また、11年には千葉県で電車内の女性の寝顔を撮った男が逮捕された。

 

「不用意に他人を撮影すると、誰もが捕まりかねません。迷惑行為防止条例は、女性の下着や身体を写して恥ずかしい思いをさせたり不安を抱かせた場合に適用されます。『身体』とは洋服を着た状態も指すので、街で通行人の女性を撮り、警察を呼ばれたらアウト。カメラやスマホを向けただけ、シャッターを切らなくても捕まります」と警鐘を鳴らす法律家もいる。

 

「漠然と街中の風景を撮影したり、単にカメラを向けただけで逮捕されるなどということはあり得ません。迷惑行為防止条例の立法主旨は、性犯罪の抑制にあります。つまり、撮影行為にわいせつ性があるかどうかが、犯罪成立の要件ともいえます。社会通念上の性的な道義観念が判断基準となります」

 

具体的には、どのような写真撮影が「わいせつ」と判断されるのだろうか?

「これから各地で開催されるであろう秋祭りで法被を着ている女性、サンバカーニバルで露出の高い衣装で踊る女性を撮る行為はグレーです。しかし公にされている祭りですから、違法性は低いと思います。むしろ、公園で子どもと遊ぶ主婦やベンチで居眠りする女性の顔などを望遠レンズで撮影するのは、わいせつと判断される可能性があります。また、親の許可を得ずに水場で遊ぶ幼女を撮影するのは『児童ポルノ禁止法』に引っかかる可能性があります」

 

痴漢よりも罰則が重い盗撮

東京都議会の説明によると、盗撮と痴漢は同じ性犯罪であり、どちらも被害者本人の性的羞恥心を害する行為だが、盗撮はカメラやビデオを用いて性的羞恥心を害する犯罪なので、撮られた画像がネットを通じて流通してしまう恐れがある。また、被害者が複数に及ぶ可能性もあり、痴漢以上に社会秩序が害される程度が大きく、公益を保護する意味でも、盗撮は痴漢よりも重く処罰されるよう規定されているという。
 特にスマートフォンが普及してから急増しているといわれる盗撮。シャッター音を消すアプリも頒布されており、誰もが簡単に盗撮することができる環境にある。しかし、一時の欲望に流されて気軽に盗撮すれば、人生を棒に振るリスクがあることを忘れてはいけない。